三島測候所跡地に建築予定であった
        13階建てのマンション計画が白紙に 

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平成20年3月16日静岡新聞朝刊の3面より一部掲載

 住民参加を基本とした三島市の電線地中化に伴う三島大社門前町町並み整備から始まった道路建設が大きく前進して国指定『くらしの道ゾ−ン』まで広がった下田街道が今月中旬にほぼ完成した。ところが昨年になってからこの整備された門前町の下田街道沿い(三島大社より約1km南)にある三島測候所跡地に13階建てのマンションが計画されつつあることがわかり大問題になっていた。三島測候所は昭和5年の開設後平成15年には無人化となったが定点観測は行われていた。一昨年三島測候所を取り壊して更地にする危機に際し地元自治会や市民の運動の広がりが起こり三島市に働きかけた。昨年その跡地は市が建物を含めて1000u、気象庁が無人観測基地として600u、残り2300uを財務省が一般競争入札してあるマンション業者が落札した経緯がある。隣地の無人観測と近隣の日照などの影響が懸念され住民反対運動へと発展していったがこの活動に中心的役割を果たしたのが東本町二丁目自治会と『三島測候所を保存する会』(事務局・NPO法人グランドワ−ク三島)のメンバ−であった。計画では今年の8月には法的には問題なく13階建てのマンション(高さ39m)が着工予定で、無人観測のうち少なくても風向風速と日照時間は継続できず全国の天気予報から三島の名前がなくなるかもしれない予測がでてきた。東海地方はもとより関東地方のテレビでも伊豆地方の気候を代表して三島という地名がなくなるというインパクトは全市的活動におおきなうねりとなって表れていった。
 3月16日(日)の静岡新聞では三島測候所跡地のマンション計画について大きく取り上げ、東本町2丁目自治会、三島測候所を保存する会、建設業者の三者が近く建設用地の売却方針を盛り込んだ覚書を交わす予定であると伝えた。土地については三者が協力して市などの行政側に購入を呼びかけていくそうである。数日後三島市より財政的な問題があり市で買い取ることは困難であるとの報道が新聞に出ていたが今後の推移を見守っていきたい。またその後の静岡新聞の『大自在』では末尾に次のような文章でまとめてあった。
  マンション建設は最終的に取りやめることになった背景には市民運動による建設反対に加え、企業側が有形文化財への影響や観測による貴重なデ−タの価値を認めたことが大きかった。地元や市民の『保存する会』と企業側が立場を超えてパ−トナ−シップを発揮し、問題解決に取り組む協力姿勢を明確にしたといえる。感情に走らず、冷静に対応した人材がいたことも大きかった。頻発するこの種の問題解決のヒントにならないか。
 三島が長年培ってきた住民意識がおおきな盛り上がりの支えになり、また日ごろ『街中がせせらぎ』など市民生活の環境整備を広める活動をしているグランヲワ−ク三島のNPO法人の果たした役割は大きかった。都市計画を進めていく中で県や国の財産でも地域にあるものについては住民と十分に理解し合った上で進めなければならない時代となってきており、三島市は道路、住宅建設においても先進的な地域になっているのではないだろうか。

至裾野

至沼津

下田街道

国指定
『くらしの道ゾ−ン』
  (約300m)

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---------------------------祐泉寺

国道136号線(至下田)

国道1号線バイパス(至箱根)

旧国道1号線

三島測候所

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建物の南側が無人観測地でマンションができると気象に影響がでる場所600u

正面の白い建物が旧観測所で東側の空き地2300uがマンション建設用地
この建物と周辺1000uは市が買い取り文化施設として残す

測候所前の通りを西に直進すると下田街道にでる---旗が目立つ
1km先が三島大社

三島測候所の前の通り--測候所保存の旗が一軒一軒掲げられている

緑の旗がマンション建設反対だが『三島測候所観測地点をを守ろう』という旗が目立ち、単なるマンション建設反対とは違った印象を与えている

少数だかこのようなものもあった---測候所隣接地区

ホ−ム