飛鳥時代の混乱期の大和王権を
   支えた女帝(皇極・斉明天皇) 
R7,4,1

飛鳥時代の大和王権と三島とのつながり?

 令和7年2月から3月にかけて飛鳥時代の政治情勢についてNHKテレビで新たな情報を提供してくれました。以前からなぜ飛鳥時代(白鳳期)に都から離れた伊豆の田舎三島に巨大寺院群が建てられたかをいろな方と話し合ってきました。
 三島は街中を南北に渡って豊富な湧き水と地理的に災害が少ない緩やかな傾斜地と温暖な気候、さらに三島大社前の参道の旧市ケ原から見える雄大な富士山の景観など東日本の中では地理的に大変恵まれた土地柄は現在でも想定でき、この土地に巨大寺院群が建てられたことに起因していると思われます。祐泉寺はこの巨大寺院大興寺の跡地(旧市ケ原)に戦国末期に小田原北条氏の一族(北条新三郎:早雲孫)が建てたお寺です。三島市の文化財第1号となっている大興寺の鐙瓦と五重塔の礎石、特に鐙瓦の形態が桜井市の※山田寺の鐙瓦とまったく同じにて白鳳期の時代に建てられたことが軽部教授(日大文理学部教授)によって昭和28年の発掘調査によって判明しました。
 又「白村江の戦い」の準備に斉明天皇が駿河の国(後の伊豆国)に大型船の発注をしたことが日本書紀に書かれていたことを三島史誌にあげられていました。さらに昨年末に檀家の西島達也氏から大興寺建設に関係した「丈部富賀満の消息」の小論文から時の政権の中枢である阿部氏の配下であることも述べていました。
 混乱した飛鳥時代を支えた斉明天皇に注目してきましたがなぜ三島の歴史が時の大和王権と密接な関係にあるかが上記のことからなんとなくわかってきた思いがします。先日の2回にわたってNHKテレビでの斉明天皇の動向については下記の事柄を伝えていました。
 斉明天皇(皇極天皇):女帝:中大兄皇子・後の天智天皇と天武天皇の母---皇極天皇の時代に中臣鎌足(藤原)と中大兄皇子にて蘇我氏を倒し乙巳の変(大化の改新)を成し遂げ天皇中心の政権を築いた。
 又NHK総合テレビのR7,2,19放送の「飛鳥の巨石がなぜつくられたか」では斉明天皇がこの巨石を使って様々なイベントを開催したことを伝えていました。当時の混乱した政治の方向性を上記の巨石酒船石を使って占ったり、須弥山石を使っての服属していない九州や蝦夷の豪族等を招き大和政権の権威づけに利用するなどと新たな最新情報を報じた。
 中大兄皇子の母は35代とされる皇極天皇(在位642~645年)として、又重祚(天皇として再度復活すること)して37代とされる斉明天皇(在位655年~661年)として混乱期の大和政権を支えた。660年大和朝廷は滅亡した百済を援助するため遠征軍を動員し自ら九州に向い筑紫の朝倉宮で亡くなったがその行動力はすさまじいと伝えている。その後遠征軍を率いた中大兄皇子(後の天智天皇)が白村江の戦にて敗戦し国内政治中心に方向を変えた。天皇の墓は飛鳥地に埋葬されたが、特徴のある八角形の古墳(牽牛子古墳:けんごしこふん)として今までの豪族などが作った前方後円墳とは異なった権威付け象徴としてのちの天智天皇によって作られた。
 斉明天皇についてはR7,3,6NHKBS4にて「八角墳に眠る謎の女帝として」放送された。その中で飛鳥京の建設や、巨石文化と都の運河の構築、外交政策、国内統治など大和王権の権威付けに中心となって活躍するなど歴代の中でももっと注目されてもいい天皇であると伝えていた。
 
山田寺:641年蘇我氏一族によって作られ、藤原京に匹敵する広大な寺院でその瓦の形態は広く東日本に伝わった。


大興寺を建立した丈部富賀満と大和王権との関係は





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飛鳥時代の天皇と女帝皇極・斉明天皇の関係

 代   天皇  在位   備考
 33  推古  593~628  女帝 摂政:聖徳太子 大臣:蘇我馬子 飛鳥豊浦宮即位
 34  舒明  629~641   政治:聖徳太子の文化推進 蘇我氏と距離を置く
 35  皇極  642~645  本人 645年乙巳の変(中大兄皇子・中臣鎌足) 蘇我氏滅亡
 36  孝徳  645~654 母の弟 元号を大化 都:難波宮 後継者有馬皇子暗殺される 
 37  斉明  655~661  本人 660年白村江の戦へ遠征 飛鳥の巨石文化創設
 38  天智  668~672 :中大兄皇子 近江大津宮遷都 海外から国内政治へ
 39  弘文  672~672  大友の皇子:天智天皇の後継者だが壬申の乱にて死去
 40  天武  673~681  :大海人皇子が後継(天智天皇の子との争い:古代最大の反乱:壬申の乱)飛鳥宮遷都
 41  持統  690~697  女帝:天武の娘、天智の姪 律令制 古代政治の基礎作る

斉明天皇が政治の動向を占った酒船石:(水を満たした水路上に小舟を浮かべての動向を)